よくリズム感が良いとか悪いとか、そういった話題はよく言われていますが、リズムとは「何となくといった感覚的なもの」ではありません。ここまで説明してきたように音価を守ること、つまり均一の音価を保った拍が並んだ状態を「タイム」と呼びます。時計盤のように正確なマス目で並んだタイムは聴衆の心に安心、納得、そして波紋を呼び起こします。では打ち込みのように完全な音価を保った、いわゆる機械的な演奏が最高なのかと言えば、それは絶対ではないと私は思います。気分の抑揚に添って速くなったり、遅くなったり、もっと言えばRubato(ルバート)と言って楽曲の基本的なテンポ(演奏される速度)が一定ではない手法(シャンソンなどでよく使われますね)もありますし、演奏者特有の癖や個性を魅力的と捉えられることもあります。しかし今演奏されている音符は4分音符なのか、8分音符なのか、それ以外の「呼び名のある音符」なのか。それがはっきり伝わる演奏こそが「求められる、心地よい演奏」であり演奏の絶対条件です。音楽とは演奏者と共演者や聞き手とのコミュニケーションなので、自分が演奏する内容を伝える相手に対して音楽的に意思を明確にしてこそコミュニケーションは成立します。その音楽的に意思を伝えるツールこそが、PITCHであり、音価であり、拍子なのです。
常に「拍」に注意を配り、SubDivisionを理解し、それらを伝えること。それは一朝一夕にできるものではありません。実際楽器の演奏技術にも段階はありますし、人それぞれの事情と考え方、個性があります。だからこそ世界中のミュージシャンたちは一生の課題としてそれらに向き合っています。そして彼らだからこその演奏をしています。あなたの魅力はあなただからこそのものです。そんなあなたの個性を心から求める人はきっとたくさんいるはずですから、まずは原則に向き合い、そこからあなたが本当に心から愛する「あなたの音楽」をカタチにしていきましょう。